吉田川
吉田川は、古くは三木町の田中から北走して、姥ヶ池に至り、そこからなお北流して新川に注いでいたそうです。しかし、両河川の合流するところでは氾濫が多かったため、江戸中期ごろに姥ヶ池付近でほぼ直角に西方へと方向転換し、南亀田、東十川の両吉田の方に一直線に流路を開いたそうです。
吉田川という名が示す通り、吉田へ流れ込むためにつけられた、吉田へ通じ南亀田付近の水源に利用する灌漑用水路として開発された河川のようです。
この吉田川は、過去に何度も洪水や砂押しで災害を与えていますが、平素流水のない河川敷は運動場にもなり、戦時中英霊の葬儀場に利用したり、市場に変化したり、時には仏増の鋳場に利用されたこともあるそうです。
今ではすっかり整備され、見通しのよい土堤になりましたが数年前まで、吉田川の西側の土堤はうっそうとした雑木林がありました。十河校区には里山がなく、その雑木林が里山の代わりだったのです。鳥たちの子育ての場所でもあり、夜は多くの鳥達のねぐらとなっていました。夏にはカブトムシやクワガタムシなどを見つけることができました。 昔の人の言い伝えでは、夏のある夜、吉田川の東の方から土堤の方を見たら、きれいな提灯行列が見えたそうです。それは、キツネの嫁入りの行列だったとか。 また、夜酔っ払いがその土堤を通ると、いくら歩いても前に進めず、朝が来たらヤブの中に顔を突っ込んで足ぶみをし続けていただけだったなど、逸話がたくさんあります。キツネやタヌキが人を化かすという昔話が、吉田川にもあったのです。
小学生レポート
母なる川・吉田川を未来につなぐ
まずは吉田川の調査から
みなさんは、十河地域に流れている吉田川について、どんな川だというイメージがありますか?
私たち飲み水グループは、この吉田川を中心にして学習を進めていくために、まずはこの1年間でどんな学習にしていくかを話し合い、いくつかの問いを考えてみました。
「水がどこから来るのか?」「川の自然やすんでいる生き物はどうなっているのか?」「自然の水をどのように飲み水にしているのか?」「これからもこの吉田川を守っていくにはどうすればいいのか?」といった疑問を解決するために、地域の方や関係機関の方の協力を得ながら、調べたり体験したりしていきました。
吉田川の様子は?
実際に見学することから始めよう!
まずは、吉田川へ行って様子を見てみることにしました。旧吉田橋の上から見ると、まず目についたのは、たくさんのカメやコイでした。とても気持ちよさそうに泳いでいて、すごくかわいかったです。また、シラサギなどの鳥も飛んできて、ゆっくりと休憩していました。
でも、一方でたくさんのゴミもうかんでいました。ペットボトルにおかしの袋、缶やびんまでありました。そういったゴミのせいなのか、川の流れが変わるところでは茶色い色をした汚い泡がたくさんできていました。そこで、川の水をくみ取って水質検査をしたり、川の様子をスケッチしたりしました。水質検査の結果から、やはり川の水は少し汚れていることが分かりました。
どんな生き物がいるの?
吉田川での調査・探検活動をしよう!
次に、吉田川に入って川の様子を調べることにしました。水の流れが浅い沖下橋に行き、川に入っていろいろな生き物を探しました。魚を捕るために網ですくってみましたが、最初はなかなか捕まえられませんでした。そこで、いろいろな人にアドバイスをいただきながら、魚や水生生物をとることにチャレンジしました。
魚は、網を草むらのあたりに近づけて両側から追い込んだりすることで、ドジョウやシマエビなどがたくさんとれました。また、水生生物についても、じっくりと調べてみることにしました。特に小さな水生生物は石の裏に注目して調べることにしました。すると、カワニナやタニシ、トビゲラ、イシマキガイなどが見つかりました。また、ヒシという生き物もたくさん流れていました。これは、もともとため池で生息している生き物で、吉田川がため池とつながっていることがよく分かりました。
どうやって飲み水に?
水のろ過実験をしよう!
吉田川での調査から、わたしたちが普段当たり前に見てきた吉田川には、たくさんの自然があることがよく分かりました。ただ、この自然の水は汚れているので飲むことはできません。そこで、出前授業をしていただき、自然の水をどうやってきれいな飲み水にしているのかを教えていただき、実際にろ過を体験することにしました。
ろ過実験そうちには、砂利や砂、活性炭やガーゼなどを材料にして、グループごとに組み合わせを考えながらペットボトルに詰めていきました。実際の浄水場のようにはきれいにできませんが、この実験をすることできれいな水をつくる仕組みがよく分かりました。また、実験前の水が汚いほど、きれいな水をつくるのにはかなりの手間と労力が必要だとも感じました。
大切な吉田川をきれいに!
香の川ボランティア
私たちの地域では、「吉田川を美しくする会」が主催して、年に3回、吉田川ボランティア清掃を行っています。私たち飲み水グループにとって香り活動の中心となる吉田川でのボランティア活動ということで、飲み水グループからもたくさんの友だちが参加しました。清掃をしてみると、たばこの吸い殻や空き缶、ペットボトルやお菓子の袋など、たくさんのゴミが出てきました。ボランティア清掃を通じて、ゴミを捨てない、校区の川をきれいにしたいという願いが強くなりました。
まとめ
大切な吉田川で学び、その素晴らしさを伝え、守っていきたい!
吉田川での調査・探検活動を通して、今まで私たちが何気なく接してきた地域に流れる吉田川には、たくさんの素晴らしいところがあることを強く感じました。夏の暑いときに魚をとったことや友だちと協力して水生生物や水質の調査をしたことはとても心に残っています。私たち十河に住む人にとって、吉田川は「十河の香り」の1つなのです。
でも、その素晴らしいところを守っていくためには、まだまだしていかなければいけないことがあることも分かりました。これから自分たちに何ができるのかを考えて、発信していきたいです。